「またお前か」
「よお、王様」

 軽い口調と軽薄な笑みを瞬かせてていつも窓から入ってくる侵入者は清潔なベッドに身を投げた。

「ここは宿じゃないぞ」
「知ってる」

 だってタダだし。

「…………」
「でもここが一番安全じゃん」
「…………」

 その言葉の意味を考えようとすれば、言った本人はあっさりとシーツに潜り込んで背を向ける。

 月光にあわく輝く銀色の髪。

 それに一瞬目を奪われている間に、当の本人はあっさりと夢の世界に旅立ってしまって。
 いまのいままでこの男はどこでもこんな感じでいつも無防備でそれでどうしてトレジャーハンターを自称しリターナーなどという組織に身をおいているのか不思議に思ったりもしたのだが。


 そういうわけなら。




ゲーム前。知り合って少ししたくらいの恋の予感もなんにもない頃の王様と泥棒。
ちゅうか王様、なにげに「俺ってば信用されてる?」とか思ってちょっとウキウキしてますが泥棒さんの方の心中はどうなんでしょうねぇ(^−^)とか言ってみたりするくらい。
でもベッドは占領されてるんで王様はその辺のソファで寝ます。前、面倒くさいからって一緒に寝たら蹴り落とされた経験があるらしいです。
























「…………」
「おはよう」
「───おはよう」

 添寝?
 なんで俺がこんな奴に添寝なんかされてんだよっていうかなんでそんなことしてんだよ王様。

「新手の嫌がらせか?」
「素直に愛情表現だとは思ってはくれないのかな?」
「愛情?いらない」
「ああどうしよう。いまちょっとだけ絶望した」
「重い。どけ」
「……なあ、ロック」
「なんだ」
「私の言葉はお前に伝わっているのかな?」
「お前の愛情なんかいらない」
「うん。そこまではオーケーだね。では、気持ちは?」
「…………」
「黙った。ということは伝わっているんだね」
「いらない」
「でもあげるよ」
「いらない」
「欲しくなったらいつでもおいで」
「絶対、いらねぇ」
「あのねロック」
「なんだよ」
「そんな顔で言われても全然説得力がないんだけれどこれは見込みありという解釈でいいんだよな」
「よくない」
「……可愛いとか言われないか?」
「うるさい!」
「うん。いいよ。いいね。やっぱり記念日にしよう」
「なんの話だよ!」
「“愛が伝わった日”だ。よし決めた」

 決めたじゃねーよ。




……とあるネタのラスト(笑)ラストだけどこれだけでもいいかなーと。王様が王様なんでいいか的な。.......2005.03.06