そこにいるだけで。

「なあ、あんた」
「何だ?」
「ほらさーどっかの国でさー戦う時は仮面被ってた。って奴の話、知らね?」
「なぜ顔を隠す」
「んー、すんげぇ美人すぎてみーんな固まっちゃうから?」
「…………」
「今あんた見ててなんかそんな話あったなーとか思い出して」
「この戦場でか?」
「いやもう誰もいないし?」

 俺と旦那以外。

「俺は仮面なんぞいらん」
「だろうなぁ。もったいねぇもん」
「……それに、」
「あ?」
「俺は戦いにきたわけではない」
「うん?」



 殺しにきたんだ。




散文その1。























「ザックス」
「あ?」

 名を呼ばれ振り向けば黒い手袋に包まれた指が頬を撫で、止まる。
 同時にはしった小さな痛みを訴える感覚に形だけ眉をひそめ、訝しげな視線を少しだけ上にはしらせる。

 つくりものめいた美貌の上司の奇行には───悲しいことに慣れたとはいえ。
 
「もったいないな」
「何が?」
「傷」
「‥‥アホか」
「誰が?」
「旦那以外に誰がいるって言うんだよ」
「お前のかわいいだけが取り柄の顔に傷をつけた奴」
「‥‥さっき消し炭にしたじゃねーか」
「覚えていないが」

 無意識かよ。




散文その1から紆余曲折を経て数奇な運命を辿り化学反応をおこすとこうなります(笑)1と2はコンテンツをつくるにあたり某所に放り投げておいたものを持ってきました。(殴)
ちなみに英雄様はいつでも本気です(逃走).......2005.03.06