「なにやってんだ!」
「お前がいつもしていることだろうが」
「あのなぁ!」

 平時ならば盛大なため息とともに足蹴りの一つや二つ───たとえ躱されると分かっていても───いれるところだが、戦渦のまっただ中ではそう簡単にはできない。

 そのかわり───むしろ当たり前のことだが───目の前の敵を無造作に斬りそのまま後ろまで振り抜く。
 わざわざ確認するのも面倒なくらい、いっそ真剣に戦うのが馬鹿らしくなる程の混戦の中で振るわれる凶器は違えることなく命を狩っていく。

「俺があんたを庇うのは仕事なの!」
「ほう」
「ここではな!」

 まるで本意ではない。とでも言うような苦りきった声に銀色の風が流れて赤い色を落とす。
 背中から感じる怒気は一体誰に向けられているものなのか───正確に読み取って、つい笑みを刻めば、瞬間膨れ上がった気配に───さらに苦笑する。

「仕事か」
「そうだ!!」

 怒り狂えば狂う程なぜか冷静に───機械的に───効率よく───敵を殺していく黒い影が吠え同時に何かが倒れる音……すでに慣れた感覚を刺激する、殺意とは別の、むき出しの感情はいっそ心地よく、

「つれないな」
「黙っとけ馬鹿大将!!!」

 言下に切り捨て───それと同時に唸った風をそのままにさらに爆発する。

「あのな!」
「なんだ」
「ここであんたにもしものことがあったら俺が殺されんの!セフィロスは───神羅の英雄は戦場でも傷一つなく五体大満足で帰還しなきゃなんね〜の!」
「……傷等ないぞ。お前がつけたもの以外」
「だから黙っとけ不感症」
「……それだとお前が困るだろう」
「困らねぇ!つうかなんでこんな話になってんだ!」
「なぜだろうな」
「うわーもー!!」
 
 どうやら爆発は不発に終わったらしく、暴走した力は寸分の狂いもなく敵に向けられる。
 瞬く間にひろがった物騒な気配に気づくこともなく焼き殺された残骸があっけなく崩れ、爆炎と熱に煽られて銀と黒が混ざりあう。

「避けろよ!」
「なぜ?」
「だからさっきも言っただろうーが!つうかいっつも言ってるじゃねえか!───庇うな!!」
「無理だ」
「うわぁてめぇ」
「お前が俺をここで庇うのは仕事なのかもしれないが……俺がお前を庇うのは
「言うな!アホ!本気で!ちくしょう!!」
「……いつも思うんだが、どうしてお前はこう、かわ……」
「あー!!死ね!いますぐ死ね!つうか殺してやる!!」
「また心にもないことを」
「うがーーーっ!!!」
「おーい、そこの銀黒バカップル」
「誰がだ!」
「どうした?」
「そーゆうことは夜にやれ」


「───みんな、大ッ嫌いだー!!!」








落ちないまま終わる(殴)
『大将にかばわれちゃってちょっと複雑なザク』……セフィもザクもお互いを庇うのは無意識なのにねぇ……という(笑)銀黒バカップルに否応もなくつき合わされる敵、そして他ソルジャー1st一同に合掌(逃走).......2005.09.12