久しぶりに復帰したBAUは幾許かの懐かしさとどこかほっとするような安心感をエルに与えた。
身体の傷は勿論、心の傷についても心配性な上司はいつにも増して素っ気ないが、それは彼が彼女の事を心配していないということではない。不器用なのはお互い様だ。
「ねえあれどういうこと?」
だから半ば済し崩し的に復帰したエルの、些細な違和感、あるいは好奇心の先にいるのは、その上司と何やら話し込んでいる───。
「あれって……あれか?」
「そう、あれ」
なんなのあの眼鏡。
と、隣りにいるモーガンの腕をつつく。
他人の好みやセンスをとやかく言うつもりはないのだが。
「お前が入院してる間にあいつ、ガルシアにつき合って眼鏡を買いに行ってな、」
コーヒーを片手にモーガンが器用に肩をすくめる。
苦笑というにはその顔に浮かぶ表情は曖昧で、小さな子供を見守る大人のようでもあり、イタズラを仕掛けた悪童のようにも見える。
「つき合わされての間違いでしょ───それで?」
「話の流れでお前もつくってみればってことになって」
「ガルシアが選んだのね、あれを」
「そう───まあ、気づいてないのは本人くらいだが」
そこまでくれば話は簡単だ。
“天才”と称される通りの頭脳を持ちながらどこかズレている彼をちょっとからかうつもりだったのだろう。
しかしその“ちょっと”がいまだ続いている理由がわからない。
隣りの男がそれに乗ったことは想像に難くない。けれど最終的なフォローも忘れない男だ。
それなのに。
「……じゃあなんで」
「ちょうどその時きたホッチにな……」
エルの疑問の声に───今度こそ苦笑してモーガンが事の顛末を話す。
《似合いますか?》
《───ああ》
「……」
「……」
ほとんど同時に2人は彼らの上司と同僚に視線をうつす。
いつも通り、表情の読めない気難しい顔の上司に、外見だけはティーンエイジャーに見えなくもない同僚が懐いていることは知っている。
あからさまということはない。けれどなんとなく。みていればわかるのだ。
本人以外には。
否。
本人達以外には。
「仕事、しましょうか」
「だな」
2008.01.27
天然(ホッチ)と天然(リード)に若干振り回され気味なBAUってことでもよいですか、ね?
C:いいんじゃない
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