「だって一週間ぶりだったんですよ!」
「……」

 職場では部下でも仕事を離れれば恋人である年下の青年は、青年の言うところ“一週間ぶり”の逢瀬を散々───心ゆくまで楽しんで、息も絶え絶え───一息ついているマックの隣りでそう声をあげる。
 時間はすでに零時を回り、───休みである自分とは違い今日も仕事だろうにすこぶる元気だ───冷めようとしている熱の余韻を静かに切り裂く。

「一週間!貴方に触れる事も出来なかったのに!それをあんな無防備に───」
「……」

 無防備とは何だ。というか最初に誘ってきたのはお前だろう。それをあんな中途半端に放り出して逃げて出してまさか自分だけが、自分だけが───。

「……───だなんて思ってたわけじゃないだろうな」
「え?なんです?」

 どこか気分でも悪いんですか?
 と、至極真面目な口調で問いかけてくるダニーにこたえる気力も体力もマックにはない。
 後始末をして洗い立てのシーツに変えられたベッドにぐったりと沈み込んでいる己の状態を見て、なんともないと思うのならグレードアップなど夢のまた夢だ。
 一週間。
 たが一週間。
 されど、

(一週間……)

「ええっと、もう無理、とか?」
「……」

 何が?と訊く必要は無かった。
 弱気な台詞とは裏腹に背中を辿る掌や首筋を撫でる呼気が彼の意志を雄弁に語る。
 いつもそうだ。
 彼の言葉はその本心を語らない。
 むしろ。

「いやなら───」
「ダニー」 

 硝子を通さない視線が真っ直ぐ自分を見つめていることを確認して、マックは目を閉じる。
 躊躇うことなく落ちてきた熱を受け入れながら、まだ正気を保とうとする脳が現状を問う。

 己の限界を見極めるべきか、青年を諌めるべきか───。
 だがそれを考える余裕は、当分与えられそうになかった。



2007.12.01
この後マックがステラに『一週間って長いのか短いのか?』という話をざっくばらんにして、ダニーがステラに「もうちょっとマックの事を考えなさい」と嗜められるという……。

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