噛みつかれた。
 というか噛みつかれている。
 のびてきた手を避けることもなく黙って見ていただけだったのがまずかったのか、ケープを掴まれ、引き寄せる力に逆らわないでいると上体か傾き、鼻の頭にかたく鋭いものが当たって、驚いているうちに屋上のコンクリートに押し倒され───。

(どうしよう……)

 相手───闇夜に溶け込むゴッサムの騎士───がなんらかの“薬”あるいは“毒”の影響を受けているのは間違いないのだが、それにしても。
 鼻。
 頬。
 そして首。

 脈打つその上を、夜の闇にぼんやりと浮かぶ白い歯が、気まぐれに動く。
 急所から離れることのない凶器───あるいは恋人同士なら甘い熱を孕んだ戯れとなるのかもしれないが、正直なところ。

(……犬とか猫っていうか……猛獣?)

 大型の肉食獣に食べられる草食動物の気分だ。
 最も、相手が正気の時にそんなことを言えば鼻で嗤われるどころか、一瞥もくれないだろうが。
 舌と歯と強弱をつけて噛まれる感触は、正直、悪くはない。
 普通の人間だったら皮膚が破れ肉を食いちぎられてもおかしくないが。
 彼の。
 獣の。
 満足げな吐息が。

「───ブルース?」

 不意に離れた気配に、自然と名が溢れる。
 目の前の影、マスク越しの視線とかち合って。

「え?」

 気がついた時には屋上の縁から投げ飛ばされていた。

「ちょ、ま、」
 
 仰向けに落ちる視界からあっさりと消えたケープの裾に、彼が正気に戻ったことを遅ればせながら悟り、止まる。
 もう屋上に彼の気配はない。
 そして今夜はもう何も起こらない。
 ならば。

(……薬のせいなんだから気にしなくてもいいのに)

 ビルの屋上をあっさり超えさらに上空に舞う。
 
(ああでも一応アルフレッドには言った方がいいのかな?本当に抜けたかどうかもわからないし)

 僕は噛まれても平気だけどアルフレッドに万が一の事があったら彼の主人は海より深く落ち込む。
 そんな姿は見たくない。
 ああ、でも───。

(照れるなんてかわいいところもあるんだなぁ……)


2009.04.05
とかなんとか本人に言って部屋から蹴りだされるに1票。
というか思いの外超人が余裕でそんな馬鹿な!(え)
もっと、こう、ドキドキしてほしかったんですが!
超人は犬とか猫とかそんなのにガジガジされてる気分だったよーですが、蝙蝠は本気で噛んでおりますんで普通の人だったら多分死にます。
正気じゃない蝙蝠には気をつけましょう。
正気の蝙蝠にも気をつけましょう(主に超人)

てか原作ほとんど知らないんですが(え)
とりあえずベール@ぼっちゃまとらうす@超人イメージで。

てかこれでもプラトニックな上に蝙蝠(というかぼっちゃま)は天然、超人も超天然なのでいちゃいちゃバイオレンスならぬぼけぼけバイオレンス( ´ ▽` )?


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