「───太郎、甲太郎!」

 めずらしく緊迫した声だ。
 と、どこかぼんやりとしたまま、皆守がゆっくりと目を開ける。

「甲太郎!」

 身体が痛い。
 というか怠い。
 いつにもまして重く、相変わらず頭もはっきりしない。
 
「甲太郎っ!」

 とにかく眠い。
 というのが本音だ。
 このまま眠ってしまいたいのに、眠れないのは。

「……さい」
「え?」

 目の前で───何故か真剣な貌で自分を見下ろしてる男の所為だ。

「……うるさい」
「う、うるさいって……」

 なんだよ人が心配したのに!
 と、憤慨しつつも───どこか安堵した表情で、九龍がへなりと笑う。
 
「いきなり倒れるんだもん……」
「……倒れ?」
「……ええっと、うん。こう、急に苦しみ出して───」
「……なんだそれは」
「……」
「……」

 ゆっくりと上体を起こし、その拍子に肩からずり落ちた襟を戻して───違和感を覚える。

(なんだ?)

 どうしてこの男はこちらを真っ直ぐに見ない?

「───九龍」
「あ、あのさっ!」
「……なんだ」
「い、いやだから───ッ」

 ごめんなさいっ!!!!!!!
 と、土下座する勢いで抱きついてきた男の腕の中でもがく皆守だが、寝起きの為か、勢いにのまれたのか、力が出ない。

「あぁ!?、て、ちょ、」
「ごめーんだけどごめーんだけど!反則だお前!!」
「何がだ!?」
「っていうかまだ気づいてない!?」
「だから何だ!?」
「……こ、声。とか」
「───声?」
「音楽マイナス5って何か数字以上に致命的な気が……」
「さっきから何───、……?」

(声?)

 が、

「……いやまあここまで見事に変わるとは、思ってなかったんだけど」

(声)

 だけじゃ、

「な、!?」
「この声で呼ばれるのもいいね」

 ちなみに顔はこんな感じよ?

「───ッ!!」

 と、電源の入っていないTVの画面に映り込んだ自分の姿を見て、絶句する。

(なんだ)

「つーかその格好で外出たら駄目だよ。襲われるから」

 悪い狼は俺一人で充分だからー。

(なん、で)

「!!」

 どうして俺が女に───!?
 と、ほとんど自失していた皆守の意識を現実に引き戻したのは、服の中に入り込んできた男の手だった。 

「あ。ちっちゃいけど、ちゃんとあるね」
「───っ!!!」

 むに。
 と。
 本来なら。
 あるはずのない膨らみを。
 包んだ。
 男の。
 掌の。

 感触に。

(!!!!)

「って、甲太、ろうぅご!?」 

 言い様のない感覚に襲われた皆守は本能的に目の前の男を蹴り倒し踏みつけ、手直にあった上着を掴んで部屋を飛び出した。





というような感じで。
書いちゃっても、よいですかね?

【挙手(微笑)】

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