傷02お試し版?


「───ッ」

 こうして触れるようになってから、はじめて知ったことだけど、どこもかしこも感じやすい甲太郎にとってこの“傷”も今では性感帯の一つだ。
 元々はただ、獣が傷を舐めるように、癒したいだけだったんだけど。
 何度も何度も謝って祈って願って手で指で口で触れてるうちにここは甲太郎のいいところになった。
「……いい・加減に、」
「ごめん、こっちもだね」
「!!」

 馬鹿野郎という罵声は放たれる前に、噛み殺される。
 下着の中で徐々にかたくなっていくそれをわざとぞんざいに扱えば、唇の下の肌が痙攣するように震えて、声にならない声が、噛み殺しきれない声が漏れる。

 今甲太郎と一緒にいるのは俺だけど、この身体を仕込んだのも俺だけど───。

(いまだに腹が立つ)

 この“傷”をつけたのは俺じゃない。
 この“傷”がつけられた本人はすでにその経緯を過去のものとしているのに、俺だけがこれにこだわってる。

「く、ろうッ……」
「あともうちょっと」

 涙の滲む目尻を舐め、乱れた息を吸い込んで、舌を絡める。
 いくかいかないかギリギリの強さで扱けば、堪えきれないというふうに甲太郎がなく。

「甲太郎」
「んッ、あ……あ」
「……甲太郎」
「───ッ!」

 好きだ。と舌を絡み合わせたまま囁いて軽く歯を立て、強く吸いあげる。
 同時に手の中の熱が弾けて、甲太郎がいく。

「……なんなんだよ」
「なにがー」
「本気で馬鹿だなお前」
「馬鹿で結構」
「!」

 濡れたままの手でその“傷”を辿れば、堪らないというように甲太郎がふるえる。

「世界でただひとりの甲太郎馬鹿だから」

 だからもう他の誰かに傷なんかつけられないで。



2006.04.08
えーあー。
アロマに声を出させるキャンペーン(またかよもういいよ)
もっと喘げ。という方は正直に挙手。本番は?という方も正直に挙手。

【挙手】

・top
・novel
・home