葉佩九龍


高校生という生き物を実は見た事がない。

日本の。という注釈はつくが。
両親は揃って自称、日本人だったが自分の名前もばりばりの日本語だったが、言葉も問題なく話せるし書けるし理解できるのだが。

同い年の日本人。
などというものには顔を合わせるどころか口をきいた事すらない。

大丈夫だろうか。
と、目の前の、鏡の中の黒髪の男がどこか引きつった顔で笑う。

黒い髪。
数日前まではどこかくすんだ茶色でさらにいえばぼさぼさだったのに、急遽取り寄せた資料にあわせて色を戻してこざっぱりと切ったその顔は数年前までは確かに見慣れた顔で。

(むかつく)

鏡の中でにっこりと笑うその顔に拳を叩き込んでやりたい衝動を抑え込むように、大きく息をついてやり過ごす。
見慣れた。
生まれた時から見てきた、世界で一番好きで嫌いな顔。

(まーいいか)

考えても仕方のない事は考えないほうがいいよねぇ。と無駄に前向きに生きてきたのは伊達じゃあないし。
と、少し変わったデザインの、けれどやはりどこか窮屈な制服のまま身を翻す。

どうせ目的は《秘宝》
それさえ手に入れてしまえば───。



2005.11.06
「高校生なんてやってらんないよー」と思ってたのに、気がついたらがっつりエンジョイスクールライフ。

【clap】


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