Outside of assumption
「あれー委員長さぼりー?」
屋上に続く重い扉を開けたのと同時に聞こえてきた能天気な声に思わず、苦笑する。
それはある意味予想通りで予想外の。
「自主休講だ」
へーかっこいいねー。
と言う《転校生》は手すりにつかまったまま朗らかに宣う。
彼がこの學園にきたのは9月。
2ヶ月と少し。
けれど彼は誰よりもここでの生活を楽しみ、馴染んでいる。
そう。
馴染んでいる。
「皆守は一緒じゃないのか?」
「《屋上の支配者》は今は《保健室の三年寝太郎》だねー」
そーいえば。
と、おそらくこの學園で一番親しい人間の名を一頻りからかった後、惰性で続けられた台詞は、声は、いつもと同じで。
「委員長はどれに賭けたの?一週間?二週間?三週間?」
この閉鎖された學園で、いつの間にか広がった、些か趣味の悪い、賭け。
「……三ヶ月」
曰く。
「へー俺ってばそんなに有望株!?」
『今度の転校生はいつまでいるか?』
「……誰も彼も行方不明になるわけじゃあないんだが」
「いやまあうんそうだよねぇ普通!」
無闇矢鱈に上がったテンションで乾いた笑いが空に消える。
すべてを曝しているようでその実すべてを隠したまま。
「ああでも委員長、いいセンいってるかも……」
「……また転校するのか?」
転校初日に自己紹介ではそれらしいことは言っていなかったと思うのだが、その問いに、転校生はあっさりと頷く。
「俺ってばモテモテだから」
「……」
あー。カレーの国の王子が呼んでる。
と、どこか和み系の着信音にごく自然に反応した葉佩が、開いたメールを読んでわずかに微笑む。
だから。
「じゃーねー委員長ー。5限で会いましょうー」
「……ああ」
《───ホントだったら今頃》
この台詞が最後まで聞こえなくてよかったと思った。
2006.01.12
『Outside of assumption=想定外』
とゆーかサイト。9ron一発目。これにしようかと思ってました(逃走)
【clap】
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