カレーのせい
皆守甲太郎という男は。
蹴る。
蹴りつける。
蹴り飛ばす。
踏みつける。
と、普段、眠いだのダルイだの面倒くさいだの言うわりに、容赦しない。
それがツッコミでも制裁でも照れ隠しでも結果に変わりはない。
避けなければ怪我どころかあっさりと川の向こうの両親と逢いそうになるのだが、避けたら避けたで意地になってさらに加速をつけフェイントをかましこちらの動きを正確に見切ってくるのだから、とりあえず死なない程度の威力のうちに当たっておくのが結局は一番よかったりするのだが。
しかし痛いものは痛い。
めっちゃ痛い。
のたうち回ることも出来ずその場に踞って、いもしない神様に縋り付きたくなるくらいには痛い。
なんというか人生を振り返って今までのあれやこれやを心の底から反省して、もう一度やりなおそう。と誓いかけるくらいには痛い。
それなのに。
「どうした?」
「いや、やっぱり甲太郎のカレーはおしいよなぁ……って、」
「何今さら当たり前のこと言ってんだ」
そうなんだよ。
当たり前過ぎて今さらなんだけど。
蹴られても蹴られても罵られても説教喰らっても。
「……今さらだけど当たり前のことだけど俺、お前のこと好きだなぁってさー」
「───ッ」
カレーはうまいし、甲太郎は可愛い。
俺がこいつから離れられないのって言うか、放したくないっていうのは仕方ないよなぁ。
2006.05.26
胃袋で捕まった《宝探し屋》
【ごちそうさま】
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