「九龍!」

 己の名を呼ぶ彼の声が遠い。

「九龍っ!」

 いつもは気だるげなその声が、硬い響いを露にして切なげに放たれる。
 
(甲太郎……)

 その声にこたえたいのに、その体を抱きしめたいのに目も指も声すら自由にならない。
 
「この馬鹿ッ───」

 縋り付く指に慟哭のまま揺れる髪に歪められる双眸に。
 食いしばった唇から溢れる吐息ごと絡めとって伝えたい。
 
(甲太郎、)

 自分は。
 もう、

「だ、」
「お前がくたばったら俺は誰にカレー奢らせればいいんだよ!!!」
「……」



2006.06.10
ハンターの死亡を確認してもいいですか?

【はい】


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