関係


「───で?」

 アロマパイプを銜えたまま、皆守甲太郎は長い足を持て余すかのように組み替える。
 鼻先をくすぐる甘い香りとその横柄な態度が何故か様になっていて、一瞬見惚れた葉佩だったが、相変わらず温度のない乾いた声と視線が教室の床に正座した自分の頭の上を通り過ぎるのを感じてぐっと拳を握る。

「何をどうして欲しいって?」
「お、お金を貸して欲しいんですが……」
「いくらだ?」
「ひ、昼飯代だけでよいので千円ばかりほど……」
「……」
「土鍋カレー」
「は?」
「土鍋カレーでいいぜ」
「……」

 ふっと、花の香りが動いて無意識にパイプを唇から離した指を目が追う。
 どうしてこんなに無駄に色気があるんだろう。と視線を上げれば、当然という顔で皆守が笑っている。
 土鍋カレー。
 カツカレーを土鍋に入れたシンプルなものだが、問題は。

(神産巣日かなぁ……)

 売店で買う(高校の売店でなぜ霜降り肉を扱っているのかという問題はさておき)という選択もあるが、法外な値段を払うくらいなら遺跡に潜ったほうがはやい。
 というか。

(これって普通に千円返した方が早いんじゃ)

 とは思ってもカレーのことを考えている時だけは若干、表情が穏やかになるというか幼くなるというかつまりそういう貌の皆守はわりと貴重と言うかぶっちゃけ好きだ。
 なので。
 借りた千円でカレーパンを買って一緒に昼飯を食べた。



2007.04.17
いつもと同じとか言わない(笑)

【でも出るのは鈴】


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