くろねこのさんかく01
去年のクリスマス。
俺は天使の羽根を持ったうさぎを見た。
正確にはその人は最初白いコックコートを着ていたのだが(甲太郎のバイト先のオーナーシェフだから)、閉店後のスタッフ+α(俺とか)のささやかなクリスマスパーティーで私服に着替えてきたら、そーなっていた。
一応俺と甲太郎は未成年というくくりでアルコールは飲ませてもらえなかったが(ついでに言うと俺はバイクだからどっちにしろ無理だったろうけど)、大人達で飲める人は飲んでいた。
そしてその人は飲まされていた。
そしてその人の恋人が来る頃には完璧に出来上がっていた。
そしてそんな恋人を見て平常心でいられる人間はいない。ということで、いつもは冷静沈着な彼氏も、恋人がうさ耳(付フード袖口にはファー付で丈は短い上に背中に羽根付色は勿論純白だ)で顔をほんのりと赤らめ、アルコールに潤んだ眼で見上げられて平常心を遠くに力一杯放り投げたらしく、ほとんど食事にも口をつけずあっさりとお持ち帰りになった。
そして俺もそんなラブラブな二人を見て何も思わないくらい枯れているわけではないので、一応、未成年ということを口実にその後甲太郎を連れて帰った(背中にかかった「お大事に〜」という台詞に甲太郎のかわりに手を振りながら)
でもって疲れて眠っている甲太郎の顔を見ながらふいに思った。
思ってしまった。
というか思うだろう。
あんなもん見せられたら。
「猫耳見てー……」
「ほう」
絶対似合う。
と、龍麻さんと二人で飲んでる時に(甲太郎と京一さんはそれぞれお休み中)ついうっかりぽろっとほろ酔いで言ってしまった。
言ってしまってからさあーっと血の気が引いたのは仕方がないだろう。
だってこの人は、自称、甲太郎の父(兄ではないらしい)で、実際、甲太郎のことをそれはわかりやすく(この人にしては)可愛がっている。そんな人の前で「あなたの息子に猫耳つけたいです」なんて言ったら普通、殺される。うわしまったごめん甲太郎。俺、もう駄目かもしんない。とひっそり覚悟を決めた俺に、龍麻さんは、笑った。
それはとてもきれいに。
「まかせろ」
「───は?」
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