ライバルにもならない。


「……」

目の前の光景に何か落ち着かない気分を持て余しながらそれでも視線を外す事が出来ず九龍は途方に暮れる。

昼休み。
屋上。
屋上といって真っ先に思い浮かぶのは3-Cの皆守甲太郎。

「ほら、」
「サンキュ───ってなんだよ早くくれよ」
「……」

そして皆守といえば知る人ぞ知るカレー星人。

(いやまて俺しっかりしろ)

そもそもなんでこんな場面にぶちあたらなければならないのか。

「せっかく俺がわざわざ買ってきたんだから、何か、言う事があるんじゃないのか?」

黒髪黒目の優等生然とした男が眼鏡の奥で笑う。

「礼なら言っただろ」
「欲しいんだろ?」
「……」

「なあ、甲太郎」
「てめぇの戯れ言なんぞにつき合ってられるか、九狼」
「よくできました」
「は?」

何言ってんだ。という顔も一瞬で、手渡されたカレーパンに皆守は破顔する。

(畜生)

ギリギリと胸が痛むのは、久しぶりに逢った裏切り者の半身の所為だ。



2005.11.06
クロさんアロマバッキー。バッキーはまだ名前で呼んでもらえてません。というお話。

【clap】


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