甲太郎が《宝探し屋》になった。
そりゃ確かに甲太郎がバディになってくれたらなぁなんて思ってなかったとは言わないけど。
「なあ、これはお前に預ければいいのか?」
卒業式の日。
みんなと騒いでその後、最後まで残ってた甲太郎がそう言って差し出し封筒を見て俺は一瞬、意識が飛びかけた。
そりゃあ確かに甲太郎にはいつか俺のバディになってくれないかって言うつもりではあったけど。
見慣れたマークと日本語で書かれたその文字は《ロゼッタ協会》
俺じゃない誰かの推薦状付きの案内文書。
つまり甲太郎が望みさえすれば即《宝探し屋》として登録される。
されてしまう。
俺と同じ《宝探し屋》
甲太郎が?
なんで?
こうならないように、協会に目をつけられないように、報告書には「皆守はアロマを吸いながらうとうとしてるだけです」としか書かなかったのに。
少なくとも。
なし崩しに、こちらの事情に巻き込むつもりはなかったのに。
けれど。
「……おい、何やってんだ」
「え?」
カラカラと。
軽い音を立てるスプレー缶を振る手を止め、甲太郎を見上げる。
「何って、やっぱり甲太郎のH.A.N.Tはむらさ───」
「返せ」
「ちょ、いた、痛い!本気で痛い!!」
「そうか。そりゃよかったな。馬鹿なことしかしないからてっきり神経が───」
甲太郎は《宝探し屋》になった。
俺はあの書類を受け取った。
1回離れただけで俺はもうおかしくなりそうだった。
会えなくてもどこかで生きていてくれればなんてそんなこと。
無理だ。
俺が駄目だ。
だからこれが俺を《ロゼッタ》に繋ぎとめる為の鎖でも、九狼を誘い出す為の餌でもなんでも。
「じゃ、じゃあせめて着信を!」
「……たとえば?」
「俺ボイス」
「却下」
「うぎゃーー」
「おいおい。あんまり大声出すなよ。近所迷惑だろ」
甲太郎さえいればいい。
2005.11.22
【clap】
・top
・novel
・home