思いっきり殴る。
 全体重をのせて蹴り倒す。
 そういうのは得意なんだが。

「……何してんだ」
「え?」

 その声に我にかえる。
 目の前には呆れたような貌の甲太郎。
 その視線の先───俺は両腕を中途半端に広げたまま、

「何がしたいんだ」
 
 はじめて会った頃に比べたら、幾分、やわらかくなった声音に誘われるように、腕をのばす。

「きつかったら言ってくれ」
「……阿呆か」

 そっと抱きしめた腕の中で、微かに笑う気配がして。
 腰にまわされた腕が、ゆっくりと力を入れる。
 
 痛くはない。
 苦しくもない。
 むしろ。

「───お前がしたようにすればいいんだ」



2005.12.30
ラブってみました。

【clap】


・top
・novel
・home