1秒前


 大きな掌が首の裏に触れて、他人の熱が自分の熱と溶けるその刹那。

「……」

 陰った視界と揺れた空気と触れた熱。
 瞬き一つで離れたそれをなんとなく目で追えば。

「……おい」
「……」

 隣りに座って一般的ではない通販カタログを見ていた筈の男が、顔を明後日の方向に向けたまま、なぜか、固まっていて。
 けれど、短い髪の間でわずかに赤く染まった耳が、今、ただ触れるだけのキスをしたのがこの男であることを示していて。

(阿呆か)

 ぐい。と、力任せにシャツの襟を引き寄せ、唐突な皆守の行動の真意を測りかねている男に顔を近づける。

「足りねぇ」

 年下の恋人の、甘いというよりは噛みつきかねない荒々しい熱に、男があっさりと理性の鎖を引き千切るのは1秒後。



2006.01.12
軽くチューして照れた人=28才。
そんなんで足りるかボケと思った人=18才。
とゆーか最後のアロマの台詞が「もっと」だったことはここだけの話で_| ̄|○

【clap】


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