猛犬注意?


 極々普通に遺跡探索から対レリック・ドーン戦に突入。と数えるにも片手の指ではたりなくなってくると、見学者───もとい、バディその1とハンターその2は「ああまたか」と己の不運を嘆くより先に、目の前で無造作に容赦なく敵を蹴散らしていく《宝探し屋》その1の背中を見て溜息が出てしまう。

「なあ」
「……なんだ」

 ハンターその2───ジョン・ホワイトがバディその1───皆守甲太郎に声をかける。

「旦那、止めなくていいの?」
「……」

 旦那。とは元傭兵の前歴を持つハンターその1───葉佩九龍で皆守の相棒である。
 しかし、実際は相棒というよりは、

「───飼い犬の鎖くらいちゃんと繋いでおいてくれないとさー」
「俺の主義は放し飼いだ」
「……」

 どちらともなく不毛だ。
 と悟った頃には、数の暴力をまったく苦にせず、むしろこちらが一方的だった戦闘も終了したらしく。

「甲太郎!」

 自らの名を呼び、戦闘時よりどこか切羽詰まった顔で駆け寄ってくる飼い犬───もとい、巨躯の相棒の抱擁から逃れるべきか否かを考えて。

 せめて転ばされないようにと、覚悟を決める。

「……俺も昔、飼ってたハスキーに突撃されてすっ転んだことあったなー」

 という、身も蓋もない経験談はきかなかったことにした。



2006.01.09
作中ではハスキーでしたが葉佩さんのイメージは『フラットコーテッド・レトリバー』つまり黒いレトリバー(笑)『ゴードン・セター』と『バーニーズ・マウンテン・ドッグ』も捨て難かったのですが色でフラットコーテッド。

【clap】


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