「……」
惰性でTVを眺めていた九龍が一瞬だけ、止まる。
何事かともたれていた肩から頭をあげ、とろとろと微睡んでいた瞼をあげる。
そこには皆守でさえ名前だけは知っている有名なサッカー選手の引退がトップニュースとして扱われいたのだが。
「……どうした?」
「いや」
日本ではもうそれほど感じないが、帰ってくるまでにいた国での熱狂ぶりを思い出し、そういえば、そんなこともあったなぁと眠気に誘われ目を閉じようとして飛び込んできた数字に───。
「……気にしてんのか?」
「いや」
先ほどから同じ言葉しか繰り返さない男の肩に再び頭を預け、その短い髪をかき回す。
皆守の二十歳の誕生日を祝われたのはここではない遠い異国だったが(というか実はあまり思い出したくないのだが)
単純に。
皆守と九龍は、10、違う。
「ばっかじゃねぇの」
「……うるさい」
その、めずらしく子供じみた口調に、膝に抱えたクッションを抱きしめ声を殺して笑う皆守を、大きな手が掴まえて。
「30本な」
「うるさい」
癖だらけの髪をさらにかき回され、逃れようとした腕を掴まれ、抗議の声をあげようとしたところを塞がれ───。
「TV消せ」
「電気は?」
「消せ」
あとはいつもの通り。
2006.07.03
わからない人はわからないままで。
わかっちゃった人はごめんなさい。
【時事ネタでした】
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