アニバーサリーハッピーアフターデイ
だからうつると言ったんだ。
という言葉は胸の内で飲み込んだ。
「……」
「……邪魔だ」
「……」
「…………行って来い」
「……」
「………………寝てりゃ治る」
「……」
「───なんだよ言いたいことがあるならはっきり言いやがれ!」
ぎりりと睨みつけてきた相手は布団の中。
ぐずぐずと鼻を啜って昨日まで九龍が寝ていた布団の中でうんうん唸ってるのは。
「甲太郎」
「……なんだよ」
「熱は?」
「ねぇよ」
「食欲は」
「……」
「薬は?」
「……」
「甲太郎」
ぽんぽんと。
布団の中に潜り込んで沈黙を選んだ年下の相棒の背とおぼしきふくらみを叩く。
「行けよ」
「行かない」
「行かないってお前な……」
「というか、来るなと言われた」
「……」
本来なら今日から新しい遺跡の攻略にかかるところなのだが。
一緒のチームの人間に『相棒が風邪を引いた』と連絡したところ『治るまで出てくるな』『どうせお前は相棒が気になって仕事にならないだろう』『そんなお前のペースにつき合わされたらこっちの身が持たない』『頼むから世の為人の為俺たちの平穏の為に出てくるな』とありがたい言葉をいただいたので、素直に休むことにしたのだが。
それをこの相棒は気に入らないらしく。
「寝てりゃ治る」
「うん」
「大したことない」
「うん」
「だから、」
「俺が傍にいるのは嫌か?」
「……」
「俺にうつせば早く治るぞ」
「……」
もぞもぞと。
目の前のかたまりが壁際に移動して。
馬鹿にはうつんねーよ。
と甲太郎が言ったような気がしたが、聞こえなかった振りをした。
2006.09.09
葉佩さんお誕生日おめでとう後日談。
かわりにアロマが風邪を引きました篇(微笑)
というかどうしてくれようこのバカップル。
【clap】
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