出会い編
「お、お邪魔しまーす……」
と、カチャリ。と小さな音を立てて開いたドアをそっと押す。
こじんまりとした事務所は昼間だというのい静寂に包まれていて、やはり帰ろうかと思ったところで、ソファに誰か横になっていることに気づく。
(ね、寝てる……?)
というか誰だろう。いやどこかで見たことはあるんだけど。
と、九龍はなるだけ音を立てないようにそっと近づく。
ゆるくうねる髪に覆われた顔は九龍とあまり変わらないように見える。
微かに上下する身体の上に置かれた腕から続く指になんとなく視線を落とし、そのまま濃い色のカーゴパンツに包まれた長い足をなんとなく辿り某スポーツメーカーのスニーカーのつま先に辿り着いて───。
(寝てんなー……というか俺はどうしたら)
あまり日に灼けていない顔に再び視線を落とす。
事務員というには服装がカジュアルすぎると言うかそもそもこんな真っ昼間からソファで寝たりはしないだろう。というか誰でもいいから起きてくれ。という気持ちが通じたわけではないだろうが───ん、とも、う、ともつかない微かなうめき声とともに眉間に皺が寄り───。
「お、おはようございま、す?」
「……」
1、2度、瞬いたかと思うとぎゅううっと眼が細められ───。
「……誰だ、お前」
「…………ええっと、そういうことは出来れば蹴る前に言っていただけたらと……」
「黙れ不審者。というか不法侵入者。つーかあいつらどこ行った?」
「ええっと、ちょっと出かけてくるって……」
「ああ?またラーメンか。人がせっかく───って、だから、お前、本気で誰だ?」
「あーっと、一応、今度からここでお世話になる葉佩九龍という者なのですが……」
「あー……そういえば新しいのか来るとか来ないとか言ってたな、お前か?」
「はいたぶんそうです」
「そうか……じゃあその辺で適当に待ってろ。俺は寝る」
「え?」
「TVはつけるなよ。安眠妨害だから」
「は?」
というか蹴ったことに対する謝罪とそういうあんたは誰ですか?とか色々な疑問が頭の中をぐるぐるまわったのだが。
結局。
「あ、こいつ、一応この事務所所属の皆守甲太郎」
「そういうことだ」
「よ、よろしくお願いします」
と、その名前を知ったのはそれから1時間後のことだった。
「つーかお前なにやってんだ?」
「え、ええっと、ずっと正座してたら足がしびれて」
「阿呆か」
「……」
そしてその性格を知るのには1時間もかからなかった。
06.09.20/07.04.01再録
9696@出会い編。事務所(と同じビルに)住み込みです。ちなみにアロマは視力が悪いので眼鏡装備です。ちなみに所長は緋勇龍麻で蓬莱寺京一も所属しております(爆)
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