黒猫様
生徒会室のソファにでーんと我が物顔で寝そべっているのは大きな黒い猫だ。
その大きさで猫はないだろうとは、生徒会副会長補佐の言葉だが、その猫に軽く一瞥されただけで黙ったのでその大きな黒い獣は猫ということになっている。
実際、何をするでもなく日がな一日、眠っているので害はない。
猫そのものは。
「こうたろーーー」
「……」
問題は。
「元気にしっかり寝てたか黒にゃんこめ!」
「……」
自称猫好き基、《宝探し屋》葉佩九龍。
「なーなんであんなだるだるのもじゃもじゃのアロマカレーがこんなにビュリホーな黒猫様になるんだ!」
もはや目を開けることすらしない猫の首に抱きついて頬擦りをしたり、おそらく一撃で獲物(?)を屠ることのできる前足の肉球を押したり撫でたりとやりたい放題だが、猫の方は大人しい。
大人しいというよりはむしろ諦めているというのか。
時折、何かを言いたげに尻尾がぱたりと動くくらいで好きなようにさせている。
その光景は猫の大きささえ考えなければ微笑ましいといえなくもないのだが。
「九ちゃん」
猫がようやく口を開いた。
「ん」
この場合、猫が喋ることは問題ではないらしい。
「うざい」
「カレーパンもってきた」
「食う」
「うん」
カレーパンを食べる猫もカレーパンで機嫌をなおした猫もその猫の様子を見て相好を崩している九龍の姿も第三者が見れば異様といえば異様なのであろうが。
幸か不幸か───ここの主は暴かれた《墓》の諸々の処理に追われ屋敷の方に籠りっぱなしなので、この部屋には猫と九龍しかいない。
否、明らかに猫の大きさの範疇を越えている黒猫が随時居座っているので誰も近づかない。
たとえその猫が皆守甲太郎という名のこの学園の生徒であったとしてもだ。
「つーか甲太郎、この際いっそにゃんこのままでいてよ」
「だまれ」
諸々の事情はともあれ、主のいない部屋で主のような獣の尻尾で叩かれつつも、器用に前足でカレーパンを挟んであむと食べる友人でもある黒猫の姿を見守る《宝探し屋》の顔は幸せそうだった。
2006.07.20
まえどっかでちらっと書いたにゃんことアロマと坊ちゃまの話。
のはずなのに猫好きのトレハンがどーんと出ているのはなんででしょう(ホントにな)
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