九龍deDQ3小ネタ


「悟りの書?」
「うん」

 胡散臭げなコウの声にクロウが頷く。
 どうしてこの男はいつもどうでもいい(コウにとっては)情報を嬉しそうに報告するのだろうか。と思いつつ───タツマとキョウイチに無意識に視線を走らせる。

 武闘家に剣士に盗賊───パーティとしてのバランスは悪いが、突き抜けて強い武闘家と剣士が大半の敵を一瞬で倒すのでいまのところ不都合はない。
 盗賊───ではなくトレジャーハンターと嘯く男もそこそこ役に立つ。
 立つが。

「……出家するのか?」
「誰が?」
「お前が」
「どーして?」
「常日頃の悪行を悔い改める為に僧侶にでもなるんだろ」
「……俺、こーちゃんのそういうところ大好きだけど残念違うんだなーこれが」 
「じゃあ自首か」
「……」

 あくまで至極当然という顔で呟くコウ───外見からはまったく想像できないのだがこれでも魔王を倒すべく旅に出た勇者である少年は、しかしというかやはりというか世界を救うつもりも魔王を倒すつもりもこれっぽっちもなくほぼ成り行きでここまできているのだが。
 世間知らずというよりは自分の興味があること以外はまったくもって眼中にないだけで、頭の回転も速く洞察も鋭く身体能力も高いのだが今現在ある事柄に関してのみにだけそれは発揮されつまり普段は宝の持ち腐れ状態なのだが。
 それをなんとかうまいことその気にさせるのが目下、世界を股にかけるトレジャーハンター───クロウの役割となっている。
 つまり。

「自首って俺何にも悪いことしてないじゃん」
「人んちのタンスやらツボやら漁ってんのは」
「何言ってんのあれはリサイクルって言ってその家で不必要な物を必要な人に分け与えてるんだってば」
「じゃあ今すぐその袋の中身を全部出せ」
「今現在それが必要なのは俺たちなので無問題───って話が逸れてるよ!」
「……人の道から逸れるよりはマシなんじゃないか」
「だっかっらー」

 なんのかんの言いながら下らない話を楽しそうに続ける年少組───クロウとコウのやりとりに『若いっていいなぁ』とタツマがのほほんと茶を啜る側でキョウイチが『ああいうのをバカップルって言うんだぜ』と自分達のことを棚に放り投げて訳知り顔で囁きつつ煎餅を齧る。

 今日も世界は平和である。



2007.03.13

「こーちゃん考えてみて。『悟りの書』なんだよ?」
「だから?」
「世界のことを色々『悟る』ってことはあーんなことやこーんなことが『わかる』んだよ」
「で?」
「こーちゃんの知りたいことも、わかるんじゃないかな」
「……」

アロマの知りたいこと=カレー。

【そして伝説へ……】


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