『花屋と殺し屋』散文その1


(あれ?)

 今度こそ終わりかなぁと思ったら、目の前の体が吹っ飛んだ。
 文字通り。

(あれ?)
「何やってんだ」
「え?」

 聞こえてきたのは低い、声。
 ゆらりと動いた影が外灯の下に出てきて。

 くしゃくしゃの髪に、不機嫌そうに眇められる目、意外と造作の整っている貌はどこか茫洋としていて。
 それなのに纏う気配は冷たくて熱い。
 こちら側とも向こう側とも判然としない、不穏な、けれど。

 その気配に安堵する自分がいて。

(なにそれ)

 ありえない。
 知らない。
 こんな、

「───ええっと、どちら様ですか?」
「花屋だ」 

 やっぱりこんな物騒な《花屋》なんか知らない。



2005.12.18
甲太郎さんの実家は花屋さんなのです。という設定なので『花屋と殺し屋』

【clap】


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