散らかしたら片付けましょう
「……」
久しぶりにひとりで過ごす時間の最後を風呂にあて、心身ともにリラックスして部屋に戻った皆守の眼前に広がった光景は何とも言い難いものだった。
クローゼットの引き出しが半端に開いて中から靴下が飛び出している。
しかも片方だけ。
ポルターガイストにしてはなんとも間抜けな光景だ。
そしてその間抜けには些か、心当たりがある。
「……九龍」
「あ、おかえりー」
と、引き出しからひょいと顔を出し片手を上げて嬉しそうに笑っているのは白い毛皮に包まれた手の平サイズの似非海豹───自称《宝探し屋》の葉佩九龍だ。
「何をしている」
「ひーちゃんさんがクリスマスに無事プレゼントをゲットレするには今から靴下を用意しておけって……」
奴か。
またか。
と二秒で皆守は全てを悟った。
───というか、諦めた。
「なあ、九龍」
「なに?」
「その靴下、どうするつもりだ?」
「ええっと、こうする」
と、白い毛玉は引き出しから飛び出し、床の上に散乱していた靴下の一つに潜り込む。
「ここで待っておけばプレゼントもサンタさんもゲットトレジャーミッションコンプリート!」
「……あのな、九龍」
「ん?」
サンタまでゲットレしてどうする。とは言わずに皆守は足元でにこにこと───褒められるのを待っている犬のような顔の───白い毛玉を見下ろしながら、
「お前が入ってたんじゃあプレゼントは入らないんじゃないか?」
「!!!」
そもそも人の靴下に得体の知れないものを入れようとするな。と、ベッドに座り込んでアロマに火をつける。
ちらりと下を見れば、がーん。という文字を背負ったままの白い毛玉。
だいたいお前年は幾つだ。いい年してサンタも何もないだろう。と、言うかわりに。
「───だいたいお前、何をもらうつもりだったんだ?」
皆守自身、赤い服に身を包んだ白ヒゲの爺さんに何かを望んだことはないが。
「……おい」
「んー」
ショックから立ち直ったらしい白い毛玉は、ぽてぽてと近づいてきて。
「こーちゃん」
「……」
皆守の裸足の爪先が、今まで毛玉が入っていた靴下に隠された。
2006.12.07
実はペケものフライングでございました。
【アロマお持ち帰り予定】
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