授業中は静かに寝ましょう
「……」
午後の授業など不毛だ。
と思いつつも教室で大人しくしているのは腕に寄りかかって眠っている似非海豹の所為だ。
と、皆守は己の本分が学業であることをすっかり地球外に放り投げて、ひっそりとため息をつく。
うららかな午後。
絶好の昼寝日和。
それを。
すぴー。
と気の抜けた音が聴こえる。
この白い毛玉は小さいくせに寝相がファンタジスタで、目を離すと机の上からぼてっと落ちるのだ。
この程度の高さから落ちたところで怪我一つしない頑丈な毛玉だが、それでも寝ぼけたまま足元でじたばたと「こーちゃんこーちゃん」と騒がれるのは嬉しくない。
皆守が悪いわけではないのに何故か皆の視線が『しっかり飼い主』と言っているような気がするのだ。
(くそ……)
眠い。
眠いが。
眠れない。
それなのに。
すこー。
(……)
「……甲太郎」
H.A.N.Tに高周波のマイクロ波を確認されそうな気配を感じ取ったのかはわからないが、隣りの席の季節外れの《転校生》が、静謐さを讃えた笑みのまま、そっと何かを差し出した。
水色のキャップのついた黒い、筆ペン。
「緋勇……」
「……お前の好きにするのが一番さ」
皆守の呟きに緋勇が静かに頷く。
そして───。
「霜降り!?」
目が覚めた九龍の背中には秀麗な文字で『神産巣日』と書かれていた。
2006.12.28
『毛玉のトレハンの逆襲』に続く(笑)
ええっと、きっと前日夜にH.A.N.Tを見せられながら「肉と蜜柑と真珠と鈴なのー」とか言われたんでしょう。エリア1に行く時は「今日はおにくーv」だと思います。
【かみむすび】
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