九龍小ネタsss猫耳アロマと竜@くろー
かつかつと小さな爪音が床の上を滑る。
足元に気配を感じて下を見れば。
「……あのな」
黒い瞳。黒い鱗。黒い角。黒い尾。黒い翼───全身真っ黒な竜がその長い首を精一杯伸ばしきょとんとした目でこちらを見上げていて。
「邪魔だから向こう行ってろ」
危ないからとは決して口には出さず猫は無駄に可愛らしく小首を傾げる小さな竜を蹴る真似をする。
しかし。
「……おい」
はし。と短い前足が猫の足にしがみつく。
翼を広げ器用にバランスをとると、長い尾がぱたりと揺れ。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……もうすぐ出来るからこれ食って待ってろ」
あーん。というかくわっと開かれた口の中に小さな肉のかたまりを放り込んで猫は菜箸でソファを示す。
とりあえずそれで満足したのかお礼のつもりか、黒い竜はぱたんと長い尻尾で床をひとつ叩くと、大人しくソファによじ上る。
それを見た猫の黒い尻尾もぱさりと揺れるが本人は気づかない。
くせだらけの髪の間からピンと立つ三角の耳は鍋の中でぐつぐつと煮える音と窓の外で降り続ける雨の音と───。
「……そろそろカレー以外のものも食べたいなぁ」
ぽてりと溢れた竜の独り言を拾って。
「嫌なら食うな居候」
捨てた。
2007.01.30
(元ネタ)
と、とりあえずアロマがくろーさんを拾ってからしばらく経った。という時期なのでちび竜が見た目ほど純粋でもないことを知っています(まだ人型にはなってないけど)
【とうとう猫耳】
・top
・9ron
・novel
・home