雨の日


 雨の日、猫はソファにうつ伏せになって眠っている。
 というか晴れの日でも曇りの日でもこの猫はだいたいいつもだらだらと過ごしているのだが、雨の日はそれがさらに顕著になる。
 大好きなカレーさえつくらない(というかつくりおきがある)
 ただ日がな一日。
 朝も昼も夜も起きているのか眠っているのか、何をするでもなくソファにのびている。

「……」

 黒い耳が時折わずかに動くが、尻尾はだらりと床に落ちたまま。
 ただしとしとと降る雨の音以外聞こえないそんな中。

「……」

 九龍はソファの下でそんな猫───甲太郎を見上げる。
 前足をちょこんとソファにかけ、長い首をゆらりと傾ける。
 同じ黒でも甲太郎の黒い毛皮はさらさらでふわふわだ。
 その黒い三角がのぞく明るい色の髪もふわふわだ。
 ふわふわ。
 ぺた。
 ふわふわ。
 ぺた。
 ふわふわふわ。
 ぺた。
 も、

「……」
「───……おい」
「うぎゃ」
「今何考えた?」
「べべべべつにっ」

 唐突に動いた手に首を掴まれて九龍は翼をばたつかせる。
 力は入っていないが、決して離そうとはしない手と低い、人を呪い殺せるんじゃないかと思うくらい低い声に。

「こーちゃんの髪がもさもさだなんて───」
「…………………………九龍」
「!!!!」

 猫にも逆鱗はある。
 ということを九龍はこの日、初めて知った。



2007.02.02
実は戯れてるつもりなんだよにゃんこ。とここで言ってみる。だって猫だし。飽きたらポイだけど(微笑)まあ、この後きゅうきゅう泣きついてくる竜をなだめであやしてあげるんでプラスマイナスゼロです。

【逆鱗=もさもさ?】


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