「……」
屋上といえば皆守。
皆守といえば屋上。
そして、皆守といえば───。
(気持ち良さそうに寝てんなー……)
太陽が出ているとはいえそろそろ寒くなってくるこの季節に、吹きさらしの屋上ですやすやと眠っていられるのは惰性というよりむしろ根性じゃないんだろうかと思いつつ九龍はゆっくりと眠る皆守に近づく。
(起きないなー……)
以前なら───屋上のドアを開けた時点で目が覚めていたのだが。
だらしなく投げ出された長い足を跨いで、うねる前髪が目の前。というこの距離ですら起きる気配がない。───起きている気配もない。
蹴り踏みつけられ冷笑を浴びせかけられる趣味はないが、こう、無防備に眠りこけられても、なんというか。
こう。
うずうずと。
むくむくと。
ぺろぺろと。
あむっと。
「───……おい」
「おはよ」
「今、何しやがった」
「いつもしてることじゃん」
「……」
笑って、舌を出す。
そのまま顔を近づけ───。
ぺろりと反射的に閉じた瞼を舐める。
「───……そんなに死にたいのか」
「いやいやいやいやなんでちょっと怒るわけ!いっつもこれで起こしてんじゃん!!」
「あれは犬だ!」
「《犬》は俺でしょ!?だったらいいじゃん!!」
朝晩の冷え込みというかもともと寒がりなのか真っ黒な毛むくじゃらは今では皆守のお気に入りのはずなのだが。
なぜか───というか遺伝らしいのだが唐突に《犬》───本人のなけなしの名誉の為に仔犬である理由は伏せておくが───になったりする九龍を抱いたまま眠る皆守を朝、鼻や顔を舐めて起こすのは(半分は邪魔だとばかりに抱き込まれて失敗するのだが)九龍の日課だ。
はじめは驚いていた皆守も次第に慣れ───だから今も同じように起こしただけなのだが───。
「人間がやったら変態だ!!」
「えーーー!!」
そんな理不尽な。と九龍は思うのだが(《仔犬》でも九龍は九龍でしかも男なのだから憎からず想っている相手に抱きつかれ平常心を保つ事は意外と難しいのだ)───結局、皆守に構って欲しいだけだったので、まあいいか。と大きな体のわりに俊敏な動きで皆守が疲れるまで遊んでもらった。
2006.07.31
どんどん思考のレベルも下がってきてるんですがいぬろーさん。
【ホントにな】
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