きょうのわんこ
「……」
スピーでもスコーでもつまりそんな間抜けな寝息が聞こえてきたそうな姿で、仔犬は皆守の膝の上で仰向けになって眠っていた。
そう仰向け。
犬という生き物はもう少し慎ましやかというか、猫ほどだらしのない生き物ではなかったと思うのだがとそこまで思考を進めて皆守は唐突に眉を潜める。
というかこの膝の上の黒い毛玉は人間のはずだ。
少なくとも17年間(高校三年でありながら早生まれでもなんでもなく正真正銘の17歳だ年齢詐称どころか書類も何もかも偽造された物だがそれにしても何か無駄に腹の立つ)は人間として───全うとは言いがたいが───それでも人として生きてきたはずなのに。
(……)
なんだろう。
このだらけきった獣っぷりは。
というか世界各国の同族に謝れ。ついでに俺にも謝れ。
と埒もなく思考がすべりまくるのは皆守も眠いからだ。
アロマを吸わなくてもうとうとできるくらい眠いのだ。
それなのに。
ベッドに寄りかかったまま、動かないのは。
膝の上の。
ぬくもりが。
「……起きろ馬鹿犬」
ぺちん。
と、気持ちだけは叩いたつもりの手はそのまま真っ黒な毛を緩く撫でただけだった。
2006.08.29
どーぶつには優しいアロマさん18歳。
【どーぶつには】
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