「……」
ベッドに寄りかかって雑誌を読んでいた皆守がふと顔をあげると、視線の先で───どこから盗ってきたのか(本人は否定するが)テニスボールの上に顎を乗せ真っ黒な仔犬がすやすやと眠っていた。
そう仔犬。
耳も足も尻尾も真っ黒な仔犬。
(……)
寮は勿論、ペット禁止だ。
そして皆守にそのルールを破って動物を飼う気概はこれっぽっちもない。
ないが。
「───はぅッ?」
こて。
と、仔犬の頭がボールから落ちた。
その衝撃で目が覚めたらしい仔犬が間抜けな声をあげたのを眺めつつ、皆守は口を開いた。
なんとなく。
「なあ、九龍」
「え、あ、なに?」
「お前、そのままでいる気ないか?」
「!」
その言葉にまだどこか寝ぼけていた仔犬がびくりと反応する。
しかしそれも一瞬のことで、ダッと黒い影が床を蹴ったと思った次の瞬間には───。
「こーたろうっ!!」
ぎゅうううっと自分より体格のよろしい男に思いっきり抱きつかれていた。
ひどいよこーちゃんおれこーちゃんにすてられたらどーしたらいいのっていうかすてないでだいすきだからこーちゃんこーちゃん。
ぎゅうぎゅうと自分を抱きしめる男にはあるはずのない黒い耳や尻尾が見えた皆守は、自分も大概終わってる。と思いつつ耳元できゃんきゃんと鳴く(?)年下の親友にさっきのはただの冗談だ。とは言わず、しばらくそのまま泣かせ───……否、背中を撫で続けた。
2007.03.29
まだできあがってねーのかよ。
【元ネタはN○K】
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