冬の必需品?


 冬だ。
 冬という季節には必要なものがある。
 そう。
 毛皮だ。

「九龍」
「……」

 なんとなく穏やかに聴こえる声音に九龍は内心ため息をつく。
 そういえばもうそんな季節か。と思う心と、こういう時だけやさしい声で名を呼ぶのは反則だと思う心がせめぎ合う。
 肌と肌をあわせてもあたたかいのに、残念ながら彼の望むものは別のものだ。
 そして自分はその彼の望むものを与える事が出来る。

(まあ一緒に寝れるだけでもいいかー)

 ふかふかのベッドに潜り込むとぎゅうっと抱きしめる腕の中におさまって首筋に鼻を押しつける。
 すでに夢の中に旅立った、寒がりな愛おしい人の寝顔に、ぱたぱたと揺れる尻尾が大人しくなるまで、さほど時間はかからなかった。



2007.12.02


【毛玉】


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