アロマちみっこネタsssその5
「あらやだv」
と、地の底を這うような野太い奇声に小さな皆守の全機能が止まった。
きれいになでつけられた髪。
細い眉につぶらな瞳。
そして厚めの唇から覗く白い歯に、小さな皆守の頭も真っ白になる。
「どうしたの甲太郎ちゃん?ダーリンは?ひとりなの?」
目の前には大きな顔。
大きすぎる顔。
「甲太郎ちゃん?まあ、どうしたのかしら……はっ!こういう時は可憐な乙女の口付けで───」
「───第一球、振りかぶって、撃ったぁ!!」
「ぐはっ!」
字が違うわダーリン。と心の中でハンカチを噛み締めながら、無駄に華麗なフォームで乙女は星になった。
「場外ホームラン」
それをどこか感慨深げに見やっていた九龍が、肩に担いでいたSR-16M4をアサルトベストに仕舞いながら、探していた相手に視線を落とす。
「……甲太郎?」
と、膝をついてその顔を覗き込めば。
小さな手がのびてきてぎゅっと抱きつかれる。
「あー……こわかったよなー……でもあれは宇宙人でもなんでもなくてオカマのビューティーハンターで……ええっと、今度会ったらまたぶっ飛ばしてやるから、な?」
よしよし。とその見た目に反してやわらかい髪を撫でつつ抱き上げれば、ますます強く抱きつかれる。
ぐりぐりと押しつけられる額に小さな身体から感じる鼓動の速さに小さくても皆守だけどやっぱり子供なんだよなぁ……と、落ち着かせるように背中をぽんぽんと叩く。
抱きつかれる寸前に見えた、癖のある前髪の下のじわりと潤んだ瞳や、かたく引き締められた唇や、うっすらと赤みを帯びた顔が、懸命に、何かを堪える姿を思い出して、知らずに腕に力が籠る。
「───もう一人にしないから。俺がずっとお前を守ってやるから。な、甲太郎?」
その言葉にぎゅっと小さな手が応えた。
2006.05.15
参考資料は『すどりん妖魔學園紀』
【ヒモロギー】
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