「とりっくおあとりーと?」
と、目の前の(正確には視線は下だが)小さな魔法使いに葉佩九龍は内心で拳を握る。
(グッジョブッ!グッジョブッ!!)
誰だか知らないけどありがとう神様。と、至極いい加減なことを心の中で叫びつつ膝をつく。
黒いマントに黒い三角帽子。
オレンジ色のリボンには同じくオレンジ色のカボチャのモチーフがつけられていて。
ホウキのかわりにいつもの黒い犬のぬいぐるみをマントのフードに入れたまま、小さな皆守が小さな両手をそっと差し出す。
おそらく意味は分かっていないのだろうが。
「ええええええっと、何がいい?」
キャラメル、チョコ、ヨーグルトにプリンにポテトチップスにアイスクリームと他にもお菓子(類)は常備している葉佩が脂下がった顔で言えば。
「カレー」
「うん。うん。うん。ああ。やっぱりお前はお前だな。カレーな。カレー……とりあえず、それはお昼までとっておくことにして───他の奴らにも見せびら……貰いにいこうぜ」
「貰う?」
「そー今日はお前が主役。ハロウィン最高。手始めにやっちに会いに行こう!てゆーかそれ、誰に着せてもらったんだ?」
「せんせい」
小さな皆守が言う『せんせい』はひとりしかいない。
(雛先生ぐっじょぶ!!!!)
さすがだ。
と、心の中で楚々と微笑む担任の顔を思い浮かべつつ、葉佩は小さな皆守を抱き上げる。
「よしじゃーやっち見せるぞ!じゃなかった会いに行くぞ!会ったらさっきの、ちゃんと言えよ?そしたらお菓子が貰えるからな!!」
「カレー味?」
「おーともカレー味」
「じゃあ言う」
「言え───言って悩殺……じゃなかったお菓子いっぱい貰おうなー!」
「とりっくおあとりーと?」
「甲クン!!」
「お菓子くれなきゃゲットレするぞー!」
「───九ちゃん!?」
その後。
小さな魔法使いを抱えた虎(の着ぐるみ)が學園内のいたるところで目撃されたらしい。
そんなハロウィン。
2006.10.31
ちなみに帽子を取ると中、猫耳(逃走)
【ぐっじょぶ】
・top
・9ron
・novel
・home