おとうさんといっしょ?


 世の中概ね平和である。

「皆守」
「……」
「……」
「……甲太郎」
「あもん?」

 たとえ一学生である皆守甲太郎(18歳)が見た目も中身も幼児となり、剰えデパートで迷子になろうとも、世の中、概ね平和であった。

「甲太郎っ!」
「くろ」
「ごめんなー……俺が目を離したばっかりに」
「……」

 ぎゅう。と小さな皆守に抱きついた男の背中を見下ろしながら、阿門はようやく息を吐いた。
 見た目幼児とはいえ侮ってはいけないということだろうか。とほんの僅かの間に姿を消した小さな皆守が、寝具売り場のベッドですやすやと眠っていた。と聞いた時は無駄に感慨をおぼえたものだが。
 ともあれ感動の抱擁を解き、今度こそとしっかりと腕に抱え上げられた小さな皆守の頭を撫でながら、制服に身を包んだ店員がやわらかく微笑えむ。

「良かったわね。お父さんとお兄さんが迎えにきてくれて」

 その言葉に小さな皆守がこくんと頷いた。

「……」
「……」 
 
 世の中、概ね平和である。
 たとえ年相応に見られなくても、諸悪の根源がめずらしく心の底から同情の眼差しを送って来ようとも、その腕の中で小さな皆守が安心しきったかおでまたうとうとするくらいには。



2007.06.17
ちちのひだったからー。

【ぱじゃまでおじゃま】


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