「……」

 12月24日の深夜に部屋に上がり込んできた男は12月31日───つまり今年もあと少しで終わるというのにまだ居座っていた。

「どしたのこーちゃん?」
「……いや」
 
 しかも気がつけばさして広くもない部屋の真ん中にはコタツ。
 そしてそこに陣取ってミカンなんぞ頬張ってる男の、呑気な顔を眺めつつ皆守はコートに手をかける。

「バイト?」
「夜には戻る」
「じゃあカレーあっためて待ってる」
「……」

 いってらっしゃーい。と手を振りつつも視線はTVに向けられたまま。日本にいるより海外にいる時の方が断然多いのに何故皆守の部屋の近くのレンタルビデオ店の会員カードを持っているのか。大量のDVDを借りて戻ってきた男は結局そのまま、日がな一日、だらだらと過ごしている。
 おかげで皆守の生活は狂いっぱなしな訳だが。
 それが───。

「俺だ。……ああ、その事だがキャンセルだ」

 コートのポケットに入れっぱなしだった携帯を取り出しリダイヤルする。
 いつも通り、感情を伺わせない声音が淡々と用件を問う。

「───あの馬鹿がいるんだ。わかってんだろ?」

 苦笑というには冷ややかな声が乾いた大気に霧散する。

 葉佩九龍。
《宝探し屋》 

〈お前、いつまでいるんだ?〉
〈いつまでって……うーんといつまでだろう……〉
〈なんだそりゃ〉
〈ああうんだって俺いま───〉
 
「……喪部の奴に訊かれたらこう言え───俺は今“冬休み”だってな」



2007.12.31
プライスレス友情編その2だと言い張る篇。でした。

【友??】


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