「行きたいところがあるんだけど」
と、連れ出した親友はめずらしく真面目な顔をして隣りを歩いている。
その歩調がいつもより若干、乱れていることに気づいているのはたぶん。
(そういうところがらしいといえばらしいんだけどね……)
もしも。
という仮定は無意味だ。
この数ヶ月で自分たちはそれを嫌というほど思い知ったはずなのに。
それでも。
その僅かな可能性に縋り付きたくなる時がある。
弱い。
自分たちは。
それを知っているからこそ自分は足掻き、親友は断つことを選ぶ。
けれど。
「京一」
「あん?」
「ついたよ」
どうやら自分の声は聞こえたらしく、顔をあげた親友はしかしそのままピタリと止まった。
「なっ、」
「なんで?ってそれはこっちの台詞───京一、怪我してるでしょ?」
「だっ、」
「注意力散漫すぎない?っていうかむしろ集中し過ぎ?まあ、そういうところがらしいっていえばらしいけど、」
むしろ今まで気づかなかったことの方が自分としては驚きに値するのだが。
目の前には桜ヶ丘中央病院。
怖いものなど何もないと嘯く友人が唯一プライドも何もかもかなぐり捨てて逃げ出そうとする鬼門の前で、龍麻はにっこりと笑う。
他人の傷には気づいても己の傷には無頓着な友人のことが心配だったというのも嘘ではないが。
「僕」
それはそれ。
これはこれ。
むしろ一石二鳥?と自画自賛したことは笑顔の下にきれいに仕舞い込んで。
「あの時のこと、忘れたわけじゃないから」
「ばっ───」
ようやく痛みを自覚したらしい生贄───もとい親友を肩に担ぎ上げ、意気揚々と魔窟───……もとい、親友を心から愛する女医の元へと足を運んだ。
2007.03.19
あにまじん小ネタss龍麻Ver.
9話観てないのですが8話後日談的に。あにひーと京一に夢見過ぎと言う自覚はありますともええ_| ̄|○
【夢見たっていいじゃない】
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