猛獣の飼い方10の基本
ときどきあまえんぼうになります:02
(……)
カチャリ。と僅かな音に眠っていた意識が浮上する。
しかし目蓋が開くまでには至らない。
背中に感じる体温が不意に離れ、そのかわり、頭を撫でる手にとろとろと微睡んだまま皆守は頭上で交わされる会話を聞くともなしに聞く。
「……具合はどうだね?」
「……まあまあだ」
そういえばカウンセラーに部屋まで来るようにと要請したことを思い出し、ようやくきやがったかと安堵の吐息を漏らす。時間の経過が把握できないがあとは任せればいいだろうとわずかに身じろぐ。
「薬はどうする?」
「いらん」
「こっちだ」
「……」
制服のままベッドに引きずり込まれたためか、熱の籠った身体は思うように動かずぼんやりとしたまま意識が途切れそうになる。
「お前を倒すようなウィルスだぞ?」
「……」
「まさかと思うが、無自覚だったのか?」
「……」
「……まあ、お前も皆守も大したことはなさそうだ。栄養のあるものと水分と、皆守には薬も飲ませておけ───お大事に」
(……なんだ、大したことねーのか)
ともすれば霧散しそうになる意識をかろうじて繋ぎ止め、会話の意味を拾う。ほとんどがすり抜けていったが、思ったよりしっかりとした男の声音とカウンセラーの言葉に、安心して、眠気に身をまかせる。
だから。
「───余計なお世話だ」
めずらしく子供じみた男の台詞は聞こえなかった。
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配布元[リライト]http://lonelylion.nobody.jp/
2007.07.23
はばきち風邪ネタ。
葉佩さんはアロマの気配には起きないでルイ先生の気配で起きたのが密かなポイント。
【お大事にー】
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