裏切りに咲く華


 胸の真ん中にある華を九龍は「きれい」だと笑う。
 だから皆守もただ笑う。
 一度もそんなことを思った事も感じた事もないけれど、九龍が言うならそれはたぶん「きれい」なのだろう。

「甲ちゃん」
「甲太郎」
「好き」
「大好き」
「甲太郎甲太郎甲太郎」

 名を呼ばれ抱きしめられ口付けられ肌を合わせて。

「なー甲太郎」

 九龍は言う。

「一緒に行こう」 

 とても簡単な事のように。

 だから皆守は笑う。
 嗤う。
 ───己の浅ましさを。
 
「甲太郎!!」

 九龍。
 と、皆守は言う。
 最期に。

 気にするな。
 これは最初から決まっていた事。
 
「甲太郎ッ!」

 九龍。
 と、皆守は笑う。
 
 泣くな。
 これは最初から知っていた事。

 ただの裏切り者の末路。
 裏切りに咲く赤い華。 

 九龍。
 でも俺は。
 お前がきれいだと言った花を本物の花を見たかったんだ。



2006.08.22
たまにはこういうノリの話も書いてみようキャンペーン(またかー)
天香じゃなくてパラレルですが。
一発ネタなので死んでますが、続きものにすると生き残ります(爆)
というわけで生きてるVer.↓

傷痕に咲いた花

【clap】

・top
・novel
・home