愛・縁・奇・縁 -影法師-
「どうしたの?」
「───あ?」
「あまり不穏な《氣》をまき散らさないで欲しいわ」
「ふざけんな。元はといえばお前のせいだ」
「……貴方があんなことを言い出さなければ私だって……」
「そっちじゃねーよ。くそ。あいつ、絶対、臍曲げやがった」
「……」
「ああなると面倒なんだぞ。飯でもゲームでもラーメンですら釣られねぇ!」
「……ねえ龍麻、」
「───ああ?」
「あの子がそうなの?」
「……」
ぶつぶつと不機嫌そうに唸る龍麻に美女───美里が、ようやく本題に入る。
「……はやくあの子のところに帰りたいんでしょう?」
「そうだよ」
途端に、押し黙った龍麻を美里がやんわりと示唆すれば、これ見よがしに盛大な溜息をついたものの───その端整な貌を僅かに曇らせ───それはどこか不貞腐れているようにも見えたが本人には言えない───頷く。
「あの子は知っているの?」
「言うわけねぇだろ」
「……貴方にかけられた《呪》を勝手に結んでおいて?」
「───どうせ俺が死ねば勝手に解かれる《呪》だ。知らなくたって問題ねぇだろう?」
「本当に?」
「……」
「貴方はそれでいいの?」
その《呪》を解くのはとても簡単でとても難しい。
その相手に《人間》の、しかも同性を選んだ理由など龍麻にもわからない。
いや。
《……ひゆう、たつま、緋勇龍麻、ねぇ……名前と見てくれだけはまともっぽいのになー……だ、か、ら、なんですぐ脱がそうとするんだ!》
そんもの。
《ひーちゃんラーメン食いにいこうぜ!》
最初から。
《じゃあお前、“ひーちゃん”な!》
「……今までたらたら生かされてきたんだ。死ぬ時くらい選ばせろ」
《人間》を選んだことが罪だと言うのなら。
《龍》と《人間》の間に産まれたことが罪だと言うのなら。
「……貴方が死んだら、あの子はどうなるの?」
「……」
「本当に、あの子には言わないの?」
最期まで。
「言わねぇ」
「……」
「勝手に懐いた獣が勝手にまたどっかに行くんだ」
「……」
「───よくある話だろ?」
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2006.02.10
えー『愛・縁・奇・縁』は《猫》も《龍》もハートフルバカップル(希望)コメディファンタジーです(本気)
【clap】
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