こたつと鍋と酔っぱらい:04


「ならカレーと九龍なら?」
「…………」

 俺が俺と戦ってる間に龍麻さんはあっさりと最終兵器のボタンを押した。
 押してしまった。
 けれどそのカレーの国のカレーの最終兵器はなぜか沈黙したまま。

「どうした?」
「…………」

 なにやらひどく真剣な表情で───というか切羽詰まった感じで甲太郎は俯く。
 
「甲太郎?」
「…………」

 さすがに心配になったのか、龍麻さんが甲太郎の顔を覗き込もうと近づけば、ふいと顔を背け。

(え?)

 酔いとは別の赤みを帯びた目元が不意に、

(うわあ)

 泣く。
 泣くのかあの甲太郎が!
 いやしまったカレーの国の王子は意外と心根の優しい子なのでというかもしかして俺、カレーに勝ったのか!?かれこれ甲太郎と一緒になって3、4年経つけどもしかして初めての勝利か!?
 ならば俺の胸で泣くがいいむしろそんな顔俺以外に見せるな。というわけで、両手をひろげ、

(あれ?)

「……悪かったな甲太郎」
「───別に」

 甲太郎を抱きしめようとのばした俺の腕が届く前に、あやすように龍麻さんが甲太郎の目尻に口付けをおとして、立ち上がる。(距離的にはほぼ同じなのになんで負けるか俺)
 というか慰めなれてませんか龍麻さん。相手間違ってませんか龍麻さん。
 そんな負け犬の視線を感じたのか、両手が中途半端に浮いたまま固まっている俺と、とうとうこたつに突っ伏して顔を隠してしまった甲太郎を見て、

「起きろ京一」
「うあ?」

 爆睡していた京一さんの頭を踏みつける。
 甲太郎の女王気質はこの人のせいじゃないか。と今更ながら思っていると、京一さんがのそりと起き上がった。

「いくぞ」
「おう」

 反射的に応えただけっぽいんだけど、立ち上がった京一さんも、俺と、甲太郎を見る。
 そして、

「程々にな」

 ナニガデスカ?


←back
→next

・top
・novel
・home